目次
記事の内容を簡単に要約
・ECデザイナーはWebデザイナーの中でもECに特化したデザイナーのこと
・幅広いWeb制作の技術とマーケティングの知識が求められる
・需要は非常に多くキャリアアップの幅も広い
〜執筆者紹介〜
大学卒業後Webデザイン専門学校で2年間学び、Webディレクターとしてキャリアをスタート。EC専門のWebデザイナーに転職ののちWeb制作の副業を行いながらEC店長、ECコンサル修行を経て独立。
Web業界歴15年。制作からマーケティングまで一貫したサポートを信条に、スタートアップ事業や中小企業のEC運用サポートを行っています。
▶️EC店長時の最高月商3000万円 / 楽天月間MVP受賞
▶️100社超のサポート実績 / 3ヶ月以上の継続依頼率100%
▶️脱デザインができるだけの人材
▶️EC特化型キャリアアップ・副業・独立コンサルタント
ECデザイナーとは?
明確な定義はありませんが、EC運用に関わるデザインを制作するデザイナーのことをECデザイナーと呼びます。EC専門のWebデザイナーというとわかりやすいでしょうか。
Webデザイナーはよく「Webサイトをデザインする人」と思われがちですが、Webサイトだけではなく、Web上に表示されるあらゆる情報を正しく整理整頓してユーザーに伝える人、と捉えています。
例えばSNSのアイキャッチやブログのトップ画像、広告用バナーの作成もWebデザイナーのお仕事だと考えています。
中でもECに関して情報の整理整頓と伝えることに特化したWebデザイナーを、ECデザイナーと私は呼んでいます。(世間一般の認識と違っていたらすみません!)
どんな人が向いている?
Webデザイナーというと「作る仕事」という印象がありますが、ECデザイナーが作らなければならないのは「売上」です。どんなに素敵な商品ページやショップでも、「きれいなサイト」「読みやすいレイアウト」で終わってしまってはそのデザインはうまく機能したとは言えません。
ECサイトの目的は「商品を販売すること」です。
そのため、ECデザイナーに求められるのは芸術的なサイトを作る感性や表現力ではありません。目の前の商品を、画面の向こう側にいるお客様に買ってもらうためのサイトを作る知識です。
個性や芸術的感性はまったく必要ありません。この商品は誰のために存在していて、どんな風にメリットがあるか。どうすればお客様はこの商品を購入して幸せな気持ちになれるのか、それを正しく考え、デザインに落とし込み、伝えることができる方なら、どなたでも目指す価値のある職業です。
どちらかと言えば、感覚ではなく論理的に物事を組み立てられる人に向いています。
大変なことはある?
私が特に大変だと感じるのは「スピード感」です。
「明日からセールやるからバナー作って」
「来週からキャンペーンだから週末のうちにページ用意して」
「来月までに500商品登録して」
こんなことは日常茶飯事です。
私はEC業界に入ってから完璧主義を諦めました。100%完璧に仕上げるよりも、60-70%の完成度でも良いからスピード感を優先してどんどん進めるほうが、売上アップへの近道となるのです。
デザイナーとしては複雑です。
もちろんプロとして働いていますので、妥協はしません。折り合いをつけるんです。
そしていつも頭を抱えるのが、導入されているシステムの複雑さです。
楽天やamazonなどのモール独自の管理システム、自社ECであればmakeshopやfutureshop、shopifyなどのカートシステム受注管理システムや在庫管理システム、外部の物流システム、更に社内データベース用の商品管理システムや実店舗連動のPOSシステムなどたくさんのシステムで管理されています。
あなたがECデザイナーとして入社したら、まずはどんなシステムが導入されているのか把握することを忘れないでください。
あやふやにしたまま更新作業をしてしまうと、思わぬトラブルが発生してしまい最悪の場合「いったんショップを止めて修正」といった事態になり兼ねません。
どんな職種でも言えることですが、わからないことは必ず確認することを忘れずに。
ECデザイナーの次のキャリアは?
Webデザイナーであれば、UI/UXデザイナー、ディレクターやプロデューサー、フリーランスとして独立するなどのキャリアアップが一般的ですがECデザイナーはどうでしょうか。
実はECデザイナーからのキャリアアップには多くの選択肢があります。まずはECデザイナーと同様にデザイン業界を深掘りしてUI/UXデザイナーを目指す、ディレクター、プロデューサーとしてより俯瞰した立ち位置を目指す、フリーランスとして独立することも可能です。
マーケティングをしっかりと身に付ければ手を動かせるコンサルタントとして支援活動に回ることもできますし、EC店長として在庫や予算管理をする立場を目指すこともできます。
きちんと勉強すれば場合によってはご自身で物販事業をはじめることも可能です。制作も自分でできて販売のノウハウもあるのであれば、自分で売るのが最も理にかなっているかもしれませんね!
私自身はコーポレートサイトのWebデザイナーからはじめてWebディレクター、ECデザイナー、EC店長を経験し、ECコンサルタントを経て独立し、現在はECサポーターとして企業様の通販事業の支援を行っています。ECに携わることで、コーポレートサイトのWebデザイナー経験だけでは気が付けなかった世界が視野に入るので、選択肢は大きく広がることでしょう。
長くなってしまいましたがここまでが前置きです。
次からは具体的な仕事内容についてみていきましょう。
ECデザイナーの具体的な仕事内容は?
ECと一口に言っても実は色々なジャンルがあり、それぞれのジャンルの個性があります。また各企業の運用体制によりECデザイナーの仕事内容はさまざまです。
基本的には『ショップのデザイン作成』『商品ページのデザイン作成』『バナーのデザイン作成』の三つがメイン業務となります。
ショップ全体のデザイン作成
ECサイトのトップページや商品一覧ページ、お買い物ガイド、決裁画面や購入履歴ページなどをデザインします。ショップのイメージを左右することはもちろん、購入の意思決定までに「購買検討」「決済」「配送情報入力」「購入履歴の確認」といった手順がありますので、いかにストレスなく購入させるかが肝心です。
販売する商品のブランディングに大きく関わりますので、社内外のディレクターさんやコンサルタントと二人三脚で進めることもありますし、デザイナーに一任されることもあります。
「決済画面」や「マイページ」のデザインも必要な場合がりますので、事前に制作ページの確認を忘れないよう注意しましょう。
htmlやCSSを用いたWebサイト制作の経験があれば、デザインだけではなく実装まで一任される場合がほとんどです。導入するカートシステムによりPHPやjavascriptの上級知識が必要な場合もあります。ECサイトの制作を一式引き受けたいのでしたら、まずはさまざまなカートシステムを触って仕組みを把握しておくと良いでしょう。クライアントさんの要望に沿ったカートシステムの提案までできると完璧です。
もしもコーディングに自信が無いのでしたら、プロジェクトによってはデザインとコーディングが別メンバーで募集されていることもよくありますので、ご自身の得意を活かせる場所をよーく探してみてください。
商品ページのデザイン作成
ECデザイナーといえば商品ページデザインがパッと思いつきますが、実際にはランディングページのような縦に長い商品ページばかりではなく、テキストと写真のみのブログのような商品ページもあります。
1ページの中で商品やサービスの魅力を最大限に伝え、購買意欲を高めるようなページであるとともに、ショップのコンセプトやブランディングを損なわないような配慮も必要です。Photoshopのスキル以前に、商品のことを知ろうとする姿勢や商品の魅力を聞き出すヒアリング能力、そしてクライアントさんの運用状況を踏まえた最適な提案ができる引き出しが必要です。
クライアントさんによっては予算が限られていたり、発売期日の都合により短納期だったりすることもよくあります。ECデザイナーに限った話ではありませんが、自身の制作スピードと必要工数を把握することも大事なポイントです。
商品ページのデザインには正解がありませんので、納品して終わりではなく継続してマイナーチェンジの依頼が来る場合があります。商品ページのデザインを依頼する多くのクライアントさんの望みは「素敵な商品ページを作ること」ではなくその先の「お客様が購入してくれること」「お客様が喜んでくれること」であることを忘れないでくださいね。
バナーのデザイン作成
季節ごとのセールやポイント付与、特集企画などを実施する際にお客様へアピールするためのバナーを作成します。ECサイト運用で求められるのは、なによりも「スピード感」です。
期間限定イベントの場合は「事前告知」と「期間中」のそれぞれのバナーが必要な場合がありますし、楽天やyahoo!ショッピングなどのモールに出店している場合は、1か月に何回ものイベントが開催されますので、ひとつひとつの作業にスピード感が求められます。
私の経験ではバナーのデザイン制作を単発で依頼されることは少なく、バナーの制作+設置までが一括りの場合がほどんどです。となると、各モールの管理画面にアクセスしてどこに画像をアップして、どこのソースを変えればよいのか…?ECサイトの仕組みを理解して、簡単なhtmlコードは読めるようにしておくとお仕事の幅が大きく増えそうです。
EC担当者は各モールのイベントに広告運用に商品開発に振り回されてとにかく忙しいので、毎月5と0のつく日前日にバナーを作って設置して、イベントが終わったらバナーを削除して次のイベントバナーを作って設置して…をまるっと一任できるデザイナーさんは喉から手が出るほど欲しいはずです。
EC担当者さんと日々コミュニケーションを取って二人三脚での業務となりますが、アシスタントやサポーターの気持ちでEC運用をフォローアップするような携わり方もできますよ。
他にもこんな仕事内容がある場合も
メールやLINEのデザイン
ECに欠かせないのはメールによるお客様とのやり取りです。「注文完了メール」から始まり「商品の発送完了メール」「購入後のフォローメール」「メールマガジン」などがあります。最近はメールではなくLINEやSNSでお客様とコミュニケーションをとる場合もありますね。
テキストだけのメールでも必要十分なのですが、htmlメールを活用すればブランドの世界観を崩さないようなリッチなメールを送ることができます。メールはお客様とショップとの大切なつながりの場ですので、ほんの少しでもブランドの世界観を崩さないよう、メールにもこだわるショップさんは多いです。
ECデザイナーは、ショップのコンセプトやブランディングを崩さないよう、配色や文字サイズなどを調整し、すべてのお客様が気持ち良いお買い物体験ができるよう尽力しなければなりません。
htmlメールの適正なコンテンツ幅は??その拡張子はすべてのデバイスで表示される??LINEで送る画像はその文字サイズでOK??初めてのことが多いことと思います。
しっかりと情報収集をしておくと、いざという時に安心ですよ。
商品登録
新商品を発売するとき、商品をお客様が購入できるように各モールに商品情報を登録する必要があります。販売価格や送料、配送方法、カラーバリエーションの有無、商品の所属するカテゴリやJANコードの記入など、モールにより必要な項目や操作方法が異なります。
どのモールにもマニュアルはありますのですべてを完璧に覚える必要はありませんし、多くの場合「うちではこんな風にやるよ」と教えてくれますので気負う必要はありません。
時には数百~数千件の商品登録をまとめて依頼されることもあります。ひとつずつ手作業で登録してもよいのですが、エクセルやCSVなどで関数を用いた一括更新方法の知識があると大変重宝します。特にJANコードはCSVで開くと文字化けしてしまうので、取り扱いには十分な注意が必要です。はじめてCSVデータに触るときには必ずバックアップを取って、細心の注意を払って作業を進めてくださいね。
クライアントさんによっては「手元に画像や価格などの商品情報がないから、メーカーサイトから拾ってきて」とリストだけ渡されて丸投げされることも少なくありません。必須ではありませんが、「スクレイピング」などで効率よく情報収集する方法を知っておくと心強いですね。
商品画像の撮影
私がECデザイナーになったばかりのころは、商品ページで使用する商品画像の撮影は自分で行っていました。当時のショップ担当者さんは、とにかく時間がないため商品は手元にあるが撮影をする時間がない。撮影できなければどんなに素敵な商品でもお客様が購入できるページを作ることができない。
それならばと商品自体を私の自宅へ送ってもらい、自前の一眼レフカメラでパシャパシャと撮影して、商品登録を行い、商品ページのデザイン作成をするところまでが私の仕事でした。もちろん背景やしずる感にもこだわって、撮影用スタジオや備品を都度購入していました。
過去に在籍していたいくつかのショップでも、写真撮影は社内の手が空いている誰かが行っていました。予算に余裕があるショップではプロのカメラマンに依頼することもありましたが、それでも撮影の現場に立ち会う必要がありました。
もしあなたがカメラ好きで、ECの業界に興味があるのでしたら、好きなことを仕事で生かすチャンスが山ほどあるでしょう。写真の構図やカメラの知識があることは、EC業界では大きな強みとなります。積極的にアピールしましょう。
写真の色変更や白抜き
ECデザインに限った話ではありませんが、いつ何時も完璧なデータが手に入ると思ったら大間違いです。全5色のマグカップなのにピンクしかデータがない。先方から送られてきたデータの背景に余計なものが写り込んでいる。10枚セットなのに1枚しか画像に写っていない。こんなことは序の口です。
「合成して人が持っている風にしたい!」
「背景をビーチにしたい!!」
「しずる感を出すために水滴を付けてほしい!!!」
今の時代はgoogle検索で調べればやり方が出てきます。難しい加工の手順を全て覚える必要はありませんが、スピード重視のEC業界ですので商品の色変更や切り抜きくらいはパパっとできるよう鍛錬を積んでおきましょう。
意外と必要な知識として、「画像の拡張子」のことはきちんと知識として知っておくとよいでしょう。jpgとpngとgifの違い、webpやheicはご存じですか??大量の画像を共有する場合の「圧縮」とは??
ECサイトは一般的なコーポレートサイトと比較して、かなり大量の画像を取り扱います。画像の容量を極力小さくする方法や、Photoshopで複数の画像をまとめて処理する方法なども知っておいて損はありません。
マーケティングは必要か?
「WebデザイナーでECの仕事を受注したいのですが、マーケティングは勉強した方が良いですか?」
よく聞かれる質問です。
回答は「はい、マーケティングは勉強した方が良いです。」なのですが、注意が必要です。
Webデザインはマーケティングの手法の一部です。なので、あなた自身が今勉強しているデザイン自体が既にマーケティングの領域となります。
Webデザイナーとしてプロジェクトに関わるのであれば、あなたが担当する業務の前後のマーケティング文脈を正しく読み取り理解して、制作物に落とし込まなければなりません。
プロジェクト全体のマーケティング構造の中のどこを任されていて、何をゴールにしているのかを100%理解している必要があります。
その意味でマーケティングは勉強しておくべきでしょう。
最初の質問の意図が「広告運用のノウハウ」や「データ解析」の領域を指しているのであれば、広告運用やデータ解析の勉強はまだ早いです、と私ならアドバイスします。
まずはECデザイナーとして納得できる制作物を納品できること。そしてECデザイナーという立ち位置がプロジェクト全体のマーケティング構造のどの部分を担っていて、どのようなゴールを目指すべきかを明確に理解することに努めましょう。
必要なスキルは?
ECサイト運用で継続依頼をいただけるWebデザイナーになるために必要なスキルを5つ厳選した記事を作成しましたので、是非ご一読ください。
まとめ
今回はECデザイナーの仕事内容や必要なスキルについて、私の経験をもとに紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
もちろん、この記事の内容がECデザイナーの仕事のすべてという訳ではありませんよ!
この記事の中で知らない単語が出てきたのでしたら、是非今すぐにでも調べてみてください。知らない言葉は出会ったときにひとつずつ調べて覚えていけばよいですが、事前に把握しておけばいざという時に焦ることもありません。
そして、意外とECデザイナーは広く浅く多彩な能力を求められることが多いです。
デザインにもhtmlコーディングにもディレクションにもマーケティングにも興味がある、エクセルも使えるようになりたいし、しかもカメラが好き!…だけどどれか一つを選べと言われたら、、、やっぱり全部やりたい!!という良い意味で守備範囲の広い物好きな方がいらっしゃいましたら、まずはECデザイナーを目指してみてはいかがでしょうか。
この記事がECデザイナーを目指すみなさまのお力になれることを祈ります。
これからECデザイナーを目指す方におすすめの書籍
・シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは
ECデザイナー専門講座 モニターさん募集中
この度ストアカにてECデザイナーを目指す方向けの講座を開設する運びとなりました。
コロナ禍でEC業界への参入が急増し、EC業界は人手不足が深刻です。
多くの事業者さんが「対面で売る」ことはできても「オンラインで売る」ことができずに売上が伸び悩み、事業撤退を余儀なくされています。
EC業界にはあなたのちからが必要です🔥
『数字が苦手…』でも大丈夫、私も昔は「%」が計算できませんでした。
『Photoshopは触れるけどデザインのセンスは自信がない…』ならEC向きの人材かもしれません。
現役Webデザイナーさんのキャリアのこと、副業のこと、他業種からの転職のこと、ポートフォリオのことなど
メッセージでのアドバイスは無料ですので、おひとりで悩まれている方はぜひ一度ご相談ください😊📩
《基礎が分かる💻🔰》EC業界で活躍できるWebデザイナーになる
