Yahoo!ショッピング広告活用前にやるべきこと

初期費用無料で出店できるYahoo!ショッピングですが、より売り上げを伸ばすために積極的に広告を活用すべし!とアドバイスされることが多いかと思います。例えばアイテムマッチという検索広告を活用すればより多くのお客様の目に触れる位置に商品を表示させることができます。アフィリエイト料率を増やせば検索以外の場所でも商品をPRできるかもしれません。それともPRオプション料率を競合他社より高く設定する戦略が気になりますか?

広告を実施するとどんな効果があるのか、どれほど売上が増えるのかワクワクと夢が膨らみますね。しかし一度立ち止まってみてください。

あなたはこれまでに無料で実施できる施策をすべてやり切ったと言えますか?

あなたのショップで見直すべきこと見逃していることは本当にありませんか?

本記事ではYahoo!ショッピングで広告を実施する前に押さえておくべきポイントを3つ紹介します

1. 基本の検索対策をしておく

上位表示を狙いたいキーワードでどんなにスクロールしても商品が表示されない場合、基本のSEOがうまくいっていない可能性があります。その場合はどんなに広告を出しても自然検索で表示されることはありません。なぜならばあなたの販売している商品が「そのキーワードとの関連性が無い」と検索エンジンに判断されてしまっているからです。

アイテムマッチやPRオプションなど検索で有利にはたらく広告は、土台となる基本の検索対策のうえに広告という道具を用いて実績を積み上げていくイメージです。土台が堅牢で裾が広いほど高く積み上げられることを常に忘れないでください。え?取扱商品が多すぎてすべての商品の検索対策を見直すことは不可能だから一部の売れている商品だけ見直す??そんな馬鹿な話はありません。基本の検索対策ができていないから売れていない可能性はありませんか?全商品で売上を取りに行くのです。すべての商品を対象に基本的な検索対策は行っておきましょう

またお金を払うことで上記土台の範囲内で一時的な集客は期待できますが、最終的な目標は広告を使わずとも検索上位に表示されることです。広告によってお客様が集まり商品が売れて、その商品に対する検索エンジンの評価が高まれば、広告を使わなくとも自然検索で上位表示されるようになります。自然検索で上位に表示されるようになれば、その分の予算を他の広告予算へと回すことができますし、何よりも利益の増加へとつながります。

基本の検索対策をしておかないと、いつまでたっても広告ありきの運用になってしまいます。

来年も再来年も同じ商品に同額の広告費を払い続けるのですか?

それでは商品が増えるたびに広告費が膨れ上がってしまいます。広告はあくまでも自然検索の上位表示を助ける役割とし、まずは広告が無くても希望のキーワードでどこまで検索順位を上げることができるのか、また広告によってどのキーワードでどれほど検索順位を上げることができたのかを把握するために、商品自体の検索対策は万全に整えておきましょう。

商品名

商品名は検索エンジンから重要視されている項目のひとつです。商品名に含めるキーワードは①検索結果に表示されること、②絞り込みに生き残ること、の2つに備えましょう。

①検索結果に表示されるためには、まずは商品名にはお客様が検索するであろう重要なキーワード(商品名やブランド、製品コードなど)を優先順位の高い順に含めます。そしてお客様が商品名を知らない場合はどのように検索するか?を想像してキーワードを選定することも大切なポイントです。「車に付けるgps探知機」や「体温を上げる サプリ」など、文章で検索されることもYahoo!ショッピングではしばしばあります

②絞り込みに生き残るためには、「バッグ」「鞄」などのビッグワードだけでなく、「バッグ 黄色 肩掛け 30代 男性」「鞄 結婚式 おしゃれ」といった絞り込みを想定して、年代や用途などのキーワードも入れていきましょう

文字数に限りがありますので、上記①②を網羅したうえで商品名を設定します。商品名に入れられなかったキーワードはキャッチコピーや商品情報の項目に必ず入れておきましょう。

ひとつだけ注意が必要です。商品名の前半40文字は検索結果に表示され、お客様の視野に入りクリックするかどうかの判断基準のひとつとなります。サイズや数量、素材などの商品の本質は正しく伝わるか、オリジナリティはあるかどうかを公開前に必ずご確認ください。

キャッチコピー

キャッチコピーも検索エンジンの評価の対象となります。入力できる文字数が少ないため、商品名と同様に重要度の高いキーワードを入れましょう。執筆現在キャッチコピーはYahoo!ショッピング内のどこにも表示されません。文字通りキャッチコピーを入れるのではなく、検索対策用の項目として活用しましょう

商品情報

商品の特徴やサイズなどの詳細情報を正しく記載することは勿論ですが、商品名やキャッチコピーに入れられなかったキーワードもすべて商品情報に記載しましょう。商品の情報はできる限り詳しく、呼び名が複数あるような商品はすべて網羅するようにしましょう。

プロダクトカテゴリコード

プロダクトカテゴリはYahoo!ショッピングによって定められたカテゴリグループです。検索結果の左側に表示されている絞り込みエリアのカテゴリと紐づけられています。プロダクトカテゴリを登録していなければお客様がカテゴリで絞り込みを行った際に表示されなくなってしまいますので、正しいプロダクトカテゴリコードを登録しておきましょう。

プロダクトカテゴリやコードは随時更新されています。新しく追加されたプロダクトカテゴリや廃止、変更になったプロダクトカテゴリは自動では更新されませんので、Yahoo!ショッピングからのアナウンスを見逃さないようご注意ください。

ブランドコード

Yahoo!ショッピングによって定められたコードで、プロダクトカテゴリと同様に検索結果の左側に表示されているブランドの絞り込み項目と紐づけられています。メーカー商品やブランド品を取り扱う場合はブランドコードの設定を必ずご確認ください。オリジナルブランドや新しいブランドは該当のブランドコードが存在しないことがあります。その場合Yahoo!ショッピングに要望としてブランドコード申請を出すことで稀にブランド登録できることがあります。お取り扱いの商品でメーカー名やブランド名のコードが存在しなくても諦めずにYahoo!ショッピングのサポート窓口に相談してみてください。

スペック設定

Yahoo!ショッピングによって定められた色やサイズ、個数などを入力できる項目で、プロダクトカテゴリと同様に検索結果の左側に表示されているスペックの絞り込み項目と紐づけられています。スペックを登録していないと、色やサイズなどのスペックで絞り込んだお客様の検索結果に表示されなくなってしまいます。細かい設定で手間がかかりますがもれなく登録しましょう

JANコード/ISBNコード

仕入先のメーカーや卸業者からの指定のJANコードもしくはISBNコードを入力します。JANコードを登録することで、同じJANコードが登録されている商品の価格をまとめて比較できる「製品ページ(JANまとめ)」に商品を掲載することができます。この「製品ページ(JANまとめ)」は検索結果の「最安値を見る」をクリックすると表示され(※)、同じJANコードが登録されている商品を一覧表示して価格や納期を比較して購入できるページとなっています。JANコードを登録していないとこの一覧ページに表示されなくなってしまいますので、JANコードが分かる商品はできる限り登録しましょう。

※「最安値を見る」をクリックした際に表示されるページに関しては、上記「製品ページ(JANまとめ)」のほかにも、Yahoo!ショッピングが独自に設定するカタログIDを元に商品をまとめた「製品ページ(カタログまとめ)」が表示される場合があります。どちらが表示されるかは判別できません。

「最安値でないと登録するメリットがないのでは?」という意見をよく耳にしますが、筆者としては必ずしも一番安いものが売れるとは限らないと考えます。最安値でなくとも納期やストアレビュー、ポイント設定、ギフトラッピングなど選ばれる理由を作ることは可能です。そうでなければどんな商品も最安値しか売れないことになってしまい、Yahoo!ショッピングの構造自体が成立しなくなってしまいます。それよりも、JANコードで絞り込んだ一覧に商品が表示されていないことこそ、そもそも戦う土俵に立てていない致命的な問題です。

製品コード(型番)

製品コードはメーカー指定の品番や型番です。Yahoo!ショッピングでは検索結果と紐づいた絞り込みはありませんが、お客様によってはメーカー製品の商品を探すときにメーカー品番や型番で検索する場合があります。メーカー品番や型番で検索した際にも検索結果に表示されるよう、正しく入力しましょう。

優良配送設定

「優良配送」とは、Yahoo!ショッピングが定める基準をクリアした、安心かつスピーディーなお届けである配送を指す呼称です。対象商品には「優良配送マーク」のアイコンが表示され、執筆現在Yahoo!ショッピング検索結果のデフォルト設定でもある「おすすめ順」は「優良配送」の商品が優先的に表示されるようになっています。「優良配送」が獲得できていないと検索結果への表示の機会が減少し、大きな機会損失となってしまいます。あなたのショップで販売している商品には「優良配送マーク」はついていますか??もし把握していなければすぐに確認してみてください。

もし「優良配送」でない場合は、「優良配送」を獲得するために必要な配送設定や配送実績などのいくつかの基準をどの程度達成できているかを調べてみてください。具体的な条件や獲得方法については本記事では割愛します。

サムネイル画像

商品画像の1枚目となるサムネイル画像も検索対策の重要な項目の一つです。商品の顔として検索結果ページに表示され、お客様がクリックするかどうかを判断するひとつの基準となります。まずは商品の色や形状が正しく伝わることに重点を置いてサムネイル画像を用意しましょう。実際に商品を使っている状態をイメージできる画像はお客様が購入して使っている生活を想像しやすく、よりクリックを誘うことができます。カラーバリエーションがある商品であれば、どんな色展開があるのかも一瞬で明確に伝わるようなサムネイル画像を作成しましょう。

Yahoo!ショッピングのサムネイル画像にはルールとなるガイドラインがあります。このガイドラインに違反してしまうと検索順位に影響する場合がありますので、画像を作成したら公開前に必ずチェックしましょう。

2. Yahoo!ショッピングのキャンペーンを把握する

Yahoo!ショッピングでは定期的もしくは不定期にYahoo!ショッピング主催のキャンペーンが実施されます。キャンペーン期間中はお買い物でもらえるポイントがいつもより増えたり、クーポンや割引企画によりお得にお買い物ができます。Yahoo!ショッピングヘビーユーザーの多くはキャンペーン日程を事前に把握していますし、キャンペーンによっては大々的に事前告知されますので、ストア側が何もしなくてもいつもよりも多くのお客様がYahoo!ショッピングへやってきます。それらの多くのお客様は、イベントのお得感とポイントアップが後押しとなり購買意欲も高い傾向があります。

長期間に渡ってダラリと広告出稿やポイントアップをするのもよいですが、購買意欲の高いお客様の来店が見込めるイベント期間に狙いを絞って広告を出稿するのも、売り上げの相乗効果を狙う素晴らしい戦略です。

まずはYahoo!ショッピングで毎月どのようなイベントやキャンペーンが行われているかを理解しましょう。そしてイベントやキャンペーンごとに訪問人数や売上、客単価、購買率がどのように変動しているかを把握しましょう。

5のつく日

毎月5のつく日(5日、15日、25日)はPayPayポイント原資をYahoo!ショッピングが負担するキャンペーンが開催されます。この日のお買い物はストア側が何もしなくてもPayPayポイントが+4%となります

お客様の動きとしては事前に商品を探してカートに入れておき、5のつく日に決済をする傾向があります。筆者の経験上、経費で購入するオフィス系の消耗品など、5のつく日がまったく影響しない場合もあります。まずは過去1年分の毎月5のつく日の訪問者数や転換率のデータを分析してから、どのような形でキャンペーンを活用すべきかを判断しましょう。

倍!倍!ストア

毎日開催される販促企画で、参加ストアでのお買い物でPayPayポイントが5%もしくは10%お客様に付与されます。参加条件を満たしたストアのみ事前申し込みにより参加が可能です。参加条件には指定PRオプション料率への同意が必要な上に、お客様に付与されるPayPayポイントはストア原資負担ですが、この企画に参加することでお客様が集まる「倍!倍!ストア」ページへの商品掲載や、検索結果、その他誘導枠での優遇があります。

通常お客様が集まるページへの商品掲載には固定の広告費が発生しますが、「倍!倍!ストア」に関しては費用が指定のPRオプション料率とPayPayポイントのみで「倍!倍!ストア」ページへの掲載が可能です。売れなければ費用は発生しません。毎日開催される企画ですが、どの日程が効果的かはストア毎の商材や客層によって異なります。まずは平日、休日、月初、月末など様々なパターンで「倍!倍!ストア」への参加をお試しいただき、最も効果的なタイミングを検証してみてください。特に5のつく日や他のキャンペーンと重なる日程は購買意欲が高い傾向にあります。

尚「倍!倍!ストア」への参加申込みが1か月前からとなりますので、事前にチェックを忘れないようご注意ください。

超PayPay祭

Yahoo!ショッピングに出店するうえで最も重要なのが年に数回不定期で開催される超PayPay祭です。全国のPayPay加盟店及びYahoo!ショッピングでのお買い物を対象とした大型キャンペーンとなります。企画内容はその都度異なりますので確認が必要ですが、例年約1か月~2か月間開催され、お買い物の条件を達成することによりPayPayポイントの還元率が大幅にアップします。

超PayPay祭においてポイント還元率を上げる条件としては例年、指定の期間に「倍!倍!ストア」で商品を購入する事が含まれます。そのため超PayPay祭の期間中の「倍!倍!ストア」日程は特に売上が伸びやすくなります(しかも5のつく日を含む日程ならなおさら)。

広告を検討する前にYahoo!ショッピング自体がどのようなイベントやキャンペーンでお客様を集めているのかを把握し、それに対してあなたのストアではいつどのような広告を実施すべきかをより広い視点から判断できるようにしておきましょう。

3. 最低限のストア構築をしておく

今のあなたのストアの商品ページには必要な情報がすべて掲載されていますか

Yahoo!ショッピングでは、広告実施によりいつもより多くのアクセスが期待できますが、アクセスしたお客様が何も購入しないで帰ってしまうのではせっかくの広告も無駄になってしまいます。広告実施の前に、お客様が商品の購入を判断できる必要最低限の作り込みは終わらせておきましょう

必要最低限というのは「商品名」「価格」「商品画像」「スペック情報」「納期情報」「配送情報」「関連商品への回遊リンクの設置」です。筆者としてはヘッダーやレフトナビなどのショップ全体の装飾や商品ページの作り込みは後回しでよいと考えます。

もちろん理解できます、ショップオーナーになったあなたがすぐにでも見栄えの良い素晴らしいショップを構築して、周りの人をあっと驚かせたい気持ちは。

しかしショップ全体のデザインや商品ページの作り込みには大きなコストが必要です。

特にYahoo!ショッピングなどのモールに展開するショップの場合は作って終わりではなく、より反応が良い方向へと日々舵を切り作り変えていく必要があります。じっくりと時間をかけて理想のショップを追いかけていては、毎秒変動するお客様の動きに乗り遅れてしまいます。

スピーディな広告実施によりアクセスが増えることで、お客様がどのページから入ってきてどのようにストア内を回遊しているのかのデータが蓄積されます。

ネットショップでは母数の大きなデータにこそ価値があります

十分なデータが集まった時点でデータ分析を行い、優先的に作り込みを行うべきページを検討しましょう。

商品情報の登録

商品に関するすべての情報をもれなく登録しましょう。サイズ使用方法利用シーン、他商品との違いといった基本スペックはもちろん、あらゆる角度からの画像や着用or使用イメージ、折り畳み方法や収納時のサイズなど商品購入の判断材料となる情報はすべて記載します。

最初からPhotoshopを使用してすべてを美しく魅せる必要はありません。まずはお客様に漏れのない正確な商品情報が伝わるよう、テキスト情報と正確な商品画像を使用して簡潔に登録を行いましょう。

回遊リンクの設置

お客様は検索結果から各商品ページへアクセスしますが、その商品情報をすべて見終わり用事が無くなると検索結果へ戻ってしまいます。

もうすこし小さいサイズがあればなぁ

別の素材だったら買うんだけどなぁ

まとめ買いで安くなればなぁ

このようにつぶやいてショップを去っていくお客様は何を求めているかを想像してみてください。少しでも多くのお客様にストア内にとどまってもらうために、商品ページには類似商品や関連商品などの回遊リンクを掲載しましょう。

ストアレビューへの返信

商品ページを訪れたお客様は判断基準として商品レビューとストアレビューを必ずチェックします。レビューに対してストアからの返信コメントがあれば、その内容や文章の雰囲気、言葉遣いからどのような人が運営しているストアなのかを想像することでしょう。

もしあなたが誠実なストア運営を心掛けていてそれをお客様に知ってもらいたいのなら、レビューに対しても誠実に返信することをお勧めします。

万が一悪いレビューが付いたとしても、なぜそうなってしまったのか経緯の説明と誠意ある姿勢を返信として記載することで、そのレビューを見たほかのお客様の印象は大きく変わります。

残念ながら商品レビューには返信機能はありませんのでストアレビューのみとなりますが、もし既にいくつかのストアレビューが記載されていれば、そのレビューへの返信をしてみてください。またレビューへの返信をする場合は悪いレビューだけではなく良いレビューにも返信を忘れないでくださいね。

自分に不利な時だけ焦って取り繕うのでは印象は悪くなってしまいます。悪いレビューには経緯の説明と謝罪を、良いレビューには感謝を伝え、常にすべてのお客様に平等で誠意ある対応を心がけましょう

おわりに

今回は広告を実施する前にやるべきことをまとめました。せっかくの広告による集客力もYahoo!のキャンペーンの特徴を理解していなかったり基本的なSEOやストア構築ができていなければ、一時的にお客様を集客できただけで終わってしまいます。その効果を最大限発揮できるよう準備を整えることが、何より長期的に売上や利益を増やすうえで重要なポイントとなります。すべて無料で実施できる内容ばかりなので、ストアをオープンしたばかりのショップ様は是非最初のタスクとしてお試しください。

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