ECデザイナーとは?仕事内容を徹底解説!

記事の内容を簡単に要約

・ECデザイナーはWebデザイナーの中でもECに特化したデザイナーのこと
・幅広いWeb制作の技術とマーケティングの知識が求められる
・需要は非常に多くキャリアアップの幅も広い

ECデザイナーとは?

明確な定義はありませんが、EC運用に関わるオンライン上のデザインを制作するデザイナーのことをECデザイナーと呼んでいます。Webデザイナーの中でもECに特化したデザイナーのことをECデザイナーとも言えます。EC専門のWebデザイナーというと少しすっきりします。

Webデザイナーはよく「Webサイトをデザインする人」と思われがちですが、Webサイトだけではなく、Web上に表示されるあらゆる情報を正しく整理整頓してユーザーに伝える人、と捉えています。

例えばSNSのアイキャッチやブログのトップ画像、広告用バナーの作成もWebデザイナーのお仕事だと考えています。

中でもECに関して情報の整理整頓と伝えることに特化したWebデザイナーを、ECデザイナーと私は呼んでいます。(世間一般の認識と違っていたらすみません!)

どんな人が向いている?

Webデザイナーというと「作る仕事」という印象がありますが、ECデザイナーが作らなければならないのは「売上」です。どんなに素敵な商品ページやショップでも、「きれいなサイト」「読みやすいレイアウト」で終わってしまってはそのデザインはうまく機能したとは言えません。

ECサイトの目的は「商品を販売すること」です。

そのため、ECデザイナーに求められるのは芸術的なサイトを作る感性や表現力ではありません。目の前の商品を、画面の向こう側にいるお客様に買ってもらうためのサイトを作る知識です。

個性や芸術的感性はまったく必要ありません。この商品は誰のために存在していて、どんな風にメリットがあるか。どうすればお客様はこの商品を購入して幸せな気持ちになれるのか、それを正しく考え、デザインに落とし込み、伝えることが出る方なら、どなたでも目指す価値のある職業です。

しいて言えば、感覚ではなく論理的に物事を組み立てられる人に向いています。

困難なことはある?

もうお分かりかもしれませんが、「マーケティング」はECデザイナーに必須の知識と言えるでしょう。
私はマーケティングに無縁の人生を歩んできましたので、今なお勉強中です。特にマーケティング周りの数字の取り扱いには苦戦しました。

デザインAとデザインBのうち、Aの方がアクセス人数は多いが、最終的に購入している人が多いのはデザインBであった場合、どちらのデザインを採用し、どのようなマイナーチェンジをすれば最適か。広告Aと広告Bで費用対効果を算出しクリエイティブの微調整をする、そしてその効果も測定して統計を出して検証するなど、数字に苦手意識のあるかたは、今のうちに少しずつマーケティングの勉強をしておくと良いかもしれませんね。

また私が個人的に困難に感じていることのひとつに、スピード感があります。

「明日からセールやるから告知バナー作って」
「来週からキャンペーンだから週末のうちにページ用意して」
「イベント終わったから案内出しておいて」
「来月までに500商品登録して」

こんなことは日常茶飯事です。私はEC業界に入ってから完璧主義であることを放棄しました。100%完璧に仕上げるよりも、60-70%の完成度でスピード感を優先してどんどん検証していくほうが、売上アップへの近道となるのです。

そしていつも私を苦悩させるのは、会社に導入されているシステムの複雑さです。

ECサイトは多くの場合、モールやCMSなどの管理画面のほかに、受注システムや在庫管理システム、更に社内データベース用の在庫管理システムや実店舗連動のPOSシステムなど実に多様なシステムで管理されています。これが大変複雑な場合が多いのです。

今回の記事はECデザイナーの業務範囲ですのでシステム構築に携わること自体はありませんが、もしあなたがECデザイナーとして特定の会社で働くことになった場合、まずはどんなシステムが導入されているのか、しっかりと把握・理解することを忘れないでください。

どんな職種でも言えることですが、わからないことは必ず確認することを忘れずに。

ECデザイナーの次のキャリアは?

Webデザイナーでしたら、UI/UXデザイナー、ディレクターやプロデューサー、フリーランスとして独立するなどのキャリアアップが一般的ですがECデザイナーはどうでしょうか。

実はECデザイナーからのキャリアアップには多くの選択肢があります。まずはECデザイナーと同様にデザイン業界を深掘りしてUI/UXデザイナーを目指す、ディレクター、プロデューサーとしてより俯瞰した立ち位置を目指す、フリーランスとして独立することも可能です。

マーケティングをしっかりと身に付ければ手を動かせるコンサルタントとして支援に回ることもできますし、EC店長として在庫や予算管理をする立場を目指すこともできます。

きちんと勉強すれば場合によってはご自身で物販事業をはじめることも可能です。

私自身はECデザイナーからはじめてディレクター、EC店長を経験し、ECコンサルタントを経て独立しています。コーポレートサイトのWebデザイナー経験だけでは気が付けなかった世界が視野に入るので、選択肢は大きく広がることでしょう。

長くなってしまいましたがここまでが前置きです。
次からは具体的な仕事内容についてみていきましょう。

ECデザイナーの具体的な仕事内容は?

ECと一口に言っても実は色々なジャンルがあり、それぞれのジャンルの個性があります。またECの運用体制によりECデザイナーの仕事内容は様々です。

いずれの場合も基本的には『ショップのデザイン作成』『商品ページのデザイン作成』『バナーのデザイン作成』の三つがメイン業務となります。

ショップのデザイン作成

その会社で運用しているECサイトのトップページや商品一覧ページ、お買い物ガイド、決裁画面や購入履歴ページなどをデザインします。お客様がどこからどのページにアクセスして、どのように商品の購入を決定するのか、イメージを膨らませながら制作します。デザイン次第でショップのイメージを左右することはもちろんですが、お客様の購入までに「購買検討」「決済」「配送情報入力」「購入履歴の確認」といった手順がありますので、いかにストレスなく購入手順を完結させるかが肝心です。

ブランディングに大きく関わりますので、構成設計を担当するディレクターさんやコンサルタントと二人三脚で進めることもありますし、デザイナーに一任されることもあります。

コーポレートサイトやブログサイトでは経験しない「各購入フロー」や「マイページ」のデザインも必要となりますので、事前にデザイン制作が必要なページを確認することを忘れないよう注意が必要です。

WordPressでのWeb制作の知識と経験(htmlとCSSのコーディング)があれば、デザインだけではなく実装まで一任される場合がほとんどです。どのモールを使用するのか、または導入するカートシステムによりPHPやjavascriptの上級知識が必要な場合もあります。ECサイトの制作に関してまるっと引き受けたいのでしたら、まずはさまざまなカートシステムに登録して仕組みを把握しておくと良いでしょう。そしてどのカートシステムならクライアントさんの要望が実装できるのか、提案までできると完璧です。

もしもコーディングに自信が無いのでしたら、プロジェクトによってはデザインとコーディングが別メンバーで募集されていることもよくありますので、ご自身の得意を活かせる場所をよーく探してみてください。

商品ページのデザイン作成

ECデザイナーといえば商品ページデザイン(いわゆるランディングページ(Landing Page)のデザイン)がパッと想像しやすいかもしれません。実際にはランディングページのような縦に長い商品ページばかりではなく、テキストと写真のみのブログのような商品ページもありますし、写真のみでテキスト情報は必要最小限の場合もあります。

多くの場合は商品の作り手さん、またはECサイトの担当者さんからご依頼いただき、ECデザイナーに一任されます。1ページの中で商品やサービスの魅力を最大限に伝え、購買意欲を高めるようなページであるとともに、ショップのコンセプトやブランディングを損なわないような配慮も必要です。素晴らしいPhotoshopの能力以前に、商品のことを知ろうとする姿勢、商品の魅力を聞き出すヒアリング能力、そしてクライアントさんの状況を踏まえた最適な提案ができる引き出しが必要です。

クライアントさんによっては予算が限られていたり、発売期日の都合により短納期だったりすることもよくあります。ECデザイナーに限った話ではありませんが、自身の制作スピードと必要工数を把握することも大事なポイントです。

商品ページのデザインには正解がありませんので、納品して終わりではなく継続してマイナーチェンジの依頼が来る場合があります。商品ページのデザインを依頼する多くのクライアントさんの望みは、「素敵な商品ページを作ること」ではなくその先の「お客様が購入してくれること」「お客様が喜んでくれること」であることを忘れないでくださいね。

バナーのデザイン作成

季節ごとのセールやポイント付与、特集企画などを実施する際にお客様へアピールするためのバナーを作成します。ECサイト運用で求められるのは、なによりも「スピード感」です。

期間限定イベントの場合は「事前告知」と「期間中」のそれぞれのバナーが必要な場合がありますし、楽天やyahoo!ショッピングなどのモールに出店している場合は、1か月に何回ものイベントが開催されますので、ひとつひとつの作業にスピード感が求められます。

私の経験ではバナーのデザイン制作を単発で依頼されることは少なく、バナーの制作+設置までが一括りの場合がほどんどです。となると、各モールの管理画面にアクセスしてどこに画像をアップして、どこのソースを変えればよいのか…?ECサイトの仕組みを理解して、簡単なhtmlコードは読めるようにしておくとお仕事の幅が大きく増えそうです。

EC担当者は各モールのイベントに広告運用に商品開発に振り回されてとにかく忙しいので、毎月5と0のつく日前日にバナーを作って設置して、イベントが終わったらバナーを削除して次のイベントバナーを作って設置して…をまるっと一任できるデザイナーさんは喉から手が出るほど欲しいはずです。

EC担当者さんと日々コミュニケーションを取って二人三脚での業務となりますが、アシスタントやサポーターの気持ちでEC運用をフォローアップするような携わり方もできますよ。

他にもこんな仕事内容がある場合も

メールやLINEのデザイン

ECに欠かせないのはメールによるお客様とのやり取りです。「注文完了メール」から始まり「商品の発送完了メール」「購入後のフォローメール」「メールマガジン」などがあります。最近はメールではなくLINEやSNSでお客様とコミュニケーションをとる場合もありますね。

テキストだけのメールでも必要十分なのですが、htmlメールを活用すればブランドの世界観を崩さないようなリッチなメールを送ることができます。メールはお客様とショップとの大切なつながりの場ですので、ほんの少しでもブランドの世界観を崩さないよう、メールにもこだわるショップさんは多いです。

ECデザイナーは、ショップのコンセプトやブランディングを崩さないよう、配色や文字サイズなどを調整し、すべてのお客様が気持ち良いお買い物体験ができるよう尽力しなければなりません。

htmlメールの適正なコンテンツ幅は??その拡張子はすべてのデバイスで表示される??LINEで送る画像はその文字サイズでOK??初めてのことが多いことと思います。

しっかりと情報収集をしておくと、いざという時に安心ですよ。

商品登録

新商品を発売するとき、商品をお客様が購入できるように各モールに商品情報を登録する必要があります。販売価格や送料、配送方法、カラーバリエーションの有無、商品の所属するカテゴリやJANコードの記入など、モールにより必要な項目や操作方法が異なります。

どのモールにもマニュアルはありますのですべてを完璧に覚える必要はありませんし、多くの場合「うちではこんな風にやるよ」と教えてくれますので気負う必要はありません。

時には数百~数千件の商品登録をまとめて依頼されることもあります。ひとつずつ手作業で登録してもよいのですが、エクセルやCSVなどで関数を用いた一括更新方法の知識があると大変重宝します。特にJANコードはCSVで開くと文字化けしてしまうので、取り扱いには十分な注意が必要です。はじめてCSVデータに触るときには必ずバックアップを取って、細心の注意を払って作業を進めてくださいね。

クライアントさんによっては「手元に画像や価格などの商品情報がないから、メーカーサイトから拾ってきて」とリストだけ渡されて丸投げされることも少なくありません。必須ではありませんが、「スクレイピング」などで効率よく情報収集する方法を知っておくと心強いですね。

商品画像の撮影

私がECデザイナーになったばかりのころは、商品ページで使用する商品画像の撮影は自分で行っていました。当時のショップ担当者さんは、とにかく時間がないため商品は手元にあるが撮影をする時間がない。撮影できなければどんなに素敵な商品でもお客様が購入できるページを作ることができない。

それならばと商品自体を私の自宅へ送ってもらい、自前の一眼レフカメラでパシャパシャと撮影して、商品登録を行い、商品ページのデザイン作成をするところまでが私の仕事でした。もちろん背景やしずる感にもこだわって、撮影用スタジオや備品を都度購入していました。

過去に在籍していたいくつかのショップでも、写真撮影は社内の手が空いている誰かが行っていました。予算に余裕があるショップではプロのカメラマンに依頼することもありましたが、それでも撮影の現場に立ち会う必要がありました。

もしあなたがカメラ好きで、ECの業界に興味があるのでしたら、好きなことを仕事で生かすチャンスが山ほどあるでしょう。写真の構図やカメラの知識があることは、EC業界では大きな強みとなります。積極的にアピールしましょう。

写真の色変更や白抜き

ECデザインに限った話ではありませんが、いつ何時も完璧なデータが手に入ると思ったら大間違いです。全5色のマグカップなのにピンクしかデータがない。先方から送られてきたデータの背景に余計なものが写り込んでいる。10枚セットなのに1枚しか画像に写っていない。こんなことは序の口です。

「合成して人が持っている風にしたい!」
「背景をビーチにしたい!!」
「しずる感を出すために水滴を付けてほしい!!!」

今の時代はgoogle検索で調べればやり方が出てきます。難しい加工の手順を全て覚える必要はありませんが、スピード重視のEC業界ですので商品の色変更や切り抜きぐらいはパパっとできるよう鍛錬を積んでおきましょう。

意外と必要な知識として、「画像の拡張子」のことはきちんと知識として知っておくとよいでしょう。jpgとpngとgifの違い、webpやheicはご存じですか??大量の画像を共有する場合の「圧縮」とは??

ECサイトは一般的なコーポレートサイトと比較して、かなり大量の画像を取り扱います。画像の容量を極力小さくする方法や、Photoshopで複数の画像をまとめて処理する方法なども知っておいて損はありません。

マーケティング

<この項目は執筆中です>

まとめ

今回はECデザイナーの仕事内容や必要なスキルについて、私の経験をもとに紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

もちろん、この記事の内容がECデザイナーの仕事のすべてという訳ではありませんよ!

この記事の中で知らない単語が出てきたのでしたら、是非今すぐにでも調べてみてください。知らない言葉は出会ったときにひとつずつ調べて覚えていけばよいですが、事前に把握しておけばいざという時に焦ることもありません。

そして、意外とECデザイナーは広く浅く多彩な能力を求められることが多いです。

デザインにもhtmlコーディングにもディレクションにもマーケティングにも興味がある、エクセルも使えるようになりたいし、しかもカメラが好き!…だけどどれか一つを選べと言われたら、、、やっぱり全部やりたい!!という良い意味で守備範囲の広い物好きな方がいらっしゃいましたら、まずはECデザイナーを目指してみてはいかがでしょうか。

この記事がECデザイナーを目指すみなさまのお力になれることを祈ります。

これからECデザイナーを目指す方におすすめの書籍

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なるほどデザイン ( 筒井 美希 著)

シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは