Yahoo!ショッピングデータ分析-初級

「Yahoo!ショッピングで商品が売れない」という漠然としたご相談を多くいただきます。「売れない」とひとことで言っても、なぜ売れないのか理由があるはずです。その理由を突き止めることがデータ分析の大きな役割のひとつです。

今回はYahoo!ショッピングのデータ分析の初級として、毎日のストア運営の中で見るべき数字と考え方を紹介します。データ分析の初級を理解することで、あなたのストアで売上アップにつながる新たな課題が見えてくるかもしれません。またはスタートアップで右も左もわからないときの指標になるかもしれません。いずれにしても次の一手に行き詰ったときに、データ分析はあなたの強い味方となるでしょう

それではさっそく見ていきましょう。

はじめに

まずはストアクリエイターProにログインし、販売管理全体分析月次で絞り込みをします。月ごとの実績データが小さな数字でずらりと出てきます。数字アレルギーをお持ちの方はこの時点でブラウザを閉じたくなりますね。安心してください、初級で見るべき重要な数字はたったの3つです。

  • 訪問者数
  • 購買率(平均購買率)
  • 客単価(平均客単価)

この3つの数字が重要な理由は、これらが「売上を構成する要素」だからです。

売上を構成する要素とは?

ネットショップには以下のような売上の基本公式があります。

売上 = 訪問者数 × 購買率 × 客単価

この基本公式は、そのページを訪れた人が何人で(訪問者数)、そのうちの何人が(購買率)、いくらの商品を購入したか(客単価)によって売上が決まる、という内容あらわす数式です。この公式を構成する各要素に着目して数字を見ていくと、現在のあなたのストアに足りない要素が見えてくるはずです。

売上げを構成する各要素は、モールごとに呼び方が異なります。Yahoo!ショッピングでは購買率と呼ばれていますが、楽天では転換率と呼ばれています。GoogleアナリティクスをはじめとするWebマーケティング用語ではコンバージョン率(CV)とも呼ばれ、モール毎の定義の違いや場合により呼び方が異なることがあります。

今回はYahoo!ショッピングにおけるデータ分析について言及しますので、Yahoo!ショッピングが公式にアナウンスする定義に従って「訪問者数」「購買率」「客単価」を使用します。もしYahoo!ショッピング以外のモールや自社ECにおいてこの記事を参照されている読者がいらっしゃいましたら、いまいちど各用語の定義をご確認ください。

また売上の基本公式にも、リピート率が含まれているものなど様々なパターンがあるようです。こちらも今回はYahoo!ショッピングが公式にアナウンスしている売上=訪問者数×購買率×客単価の公式に基づくこととします。

それでは各要素について具体的に見ていきましょう。

1. 訪問者数

Yahoo!ショッピングにおける訪問者数の定義は以下の通りです。

訪問者数(ユニークユーザー数)
ストアを訪問したお客様の数
週の途中、月の途中で新規訪問者が再訪問した場合、既存訪問者としても計上されるため、新規訪問者数、既存訪問者数の合算値が訪問者数と一致しない場合があります。

販売管理用語集 – ツールマニュアル – Yahoo!ショッピング ※Yahoo!ショッピング出店者様用ログインが必要です

Yahoo!ショッピングにおける訪問者数は「ストアを訪問したお客様の数」と定義されています。今回はデータを月次で絞り込んでいますので、1か月間にストアを訪問したお客様の数ということになります。訪問者数が100だった場合、1か月間に100人のお客様がストアを訪問していることになります。またYahoo!ショッピングでは訪問者数=ユニークユーザー数として使用されていますので、絞り込んだ期間内であれば同じお客様が複数回訪問していても、訪問者数は1カウントとなります。

それでは、訪問者数が100だった場合、訪問者数としては多いのでしょうか?少ないのでしょうか??

いったい何人のお客様が訪問すれば十分と言えるのでしょうか。

目指すべき訪問者数の基準は?

その答えはあなたの目標とする売上によって決まります。

仮にあなたは単価5000円の花瓶を販売しているとしましょう。目標売上が月に100万円だとすると、次の計算から毎月200個の販売が必要なことがわかります。

目標売上100万円 ÷ 単価5000円 = 毎月200個の販売が必要

それでは毎月200個の花瓶を販売するためには、何人のお客様が訪問すればよいのでしょうか。

一般的にネットショップでは100人中1人が購入すればよいという目安があります。(かなり乱暴な目安に感じるかもしれませんが、まずは便宜上の参考値としてご理解ください。次章にて詳しく紹介しますが、実際は取り扱い商材のジャンルによって参考値は異なります。)

100人中1人が購入するということは、1000人中10人が購入するということであり、10000人中100人が購入するということでもあります。単純に1人1個ずつ購入するとして、逆に考えると1個購入してもらうためには月に100人の訪問者が必要となり、10個購入してもらうためには月に1000人の訪問者が必要となります。つまり200個の花瓶を購入してもらうためにはなんと20000人もの訪問者が必要となってしまいます。

概算で構いませんので、あなたのストアに当てはめて必要な訪問者数を算出してみてください。あなたのストアで目標とする売上を達成するためには何人のお客様の訪問が必要でしたでしょうか。

目標値と現在値を比較する

目標とする訪問者数の概算ができましたら、今すぐあなたのストアの訪問者数のデータを確認してみてください。

既にあなたのストアが目標売上の達成に必要な訪問者数に近づいている、または超えているのであれば、あなたのストアの課題は訪問者数以外の要素にあるはずです。可能であれば、なぜ訪問者数の目標を達成できているのかも併せて考えてみてください。ニッチな商品で競合が少なかったのか、スタートアップ時点で集客施策に力を入れていたのか、メディアで紹介されたのか、それとも他の要因は考えられますか?何もしていないのに訪問者数の目標を達成することは、通常では考えにくいです。目標達成の要因がわかれば、今後あなたのストアをステップアップさせるためのヒントがそこに隠れているかもしれません。

うまくいっていないときのデータ分析は課題を見つけるために当然必要なことですが、それ以上にうまくいっているときのデータ分析は、勝ちパターンを再現するために大変重要なことなのです。

一方で、目標売上の達成に必要な訪問者数にまったく足りていないのであれば、何を置いてもまずは訪問者数を増やすための施策、つまり集客施策に注力すべきです。場合により目標値の見直しが必要かもしれませんが、多くの場合まずはお客様が商品ページに来てくれるためにはどうすればよいかを考え施策を検討しましょう。

訪問者数を増やす具体的な集客施策は?

Yahoo!ショッピングでは検索対策が最も効果的な集客施策となります。具体的にはSEOプロダクトカテゴリスペック項目の設定、優良配送PRオプション料率の設定などの見直しが該当します。アイテムマッチ広告を活用して検索結果に有利に表示させることも検索対策の一つと言えます。また超PayPay祭倍!倍!ストアなどのYahoo!ショッピング主催イベントへの参加や、キャンペーンページへの露出も訪問者数を増やすきっかけとなります。

「ご託はいいからはやく具体的で効果的な集客施策のやり方を教えろ!」と言われてしまうかもしれませんが、今回はあくまでもデータ分析の初級ノウハウをお伝えするための記事ですので、具体的な施策については時間が許せば後日記事を用意します。(すみません!)

2. 購買率

Yahoo!ショッピングにおける購買率の定義は以下の通りです。

平均購買率
訪問者数に対する注文者の割合
注文者数÷訪問者数=購買率

販売管理用語集 – ツールマニュアル – Yahoo!ショッピング ※Yahoo!ショッピング出店者様用ログインが必要です

Yahoo!ショッピングの全体分析レポートでは平均購買率となっていますが、実際に数値の平均を取っているわけではなく月次の注文者数と訪問者数から算出している点にご注意ください。また訪問者数は前項で確認した通り、絞り込んだ期間中は同じお客様が複数回訪問していても1カウントとなります。

前項では、乱暴な目安として一般的にネットショップでは100人中1人が購入すればよいという目安があると書きました。この場合購買率は1%となります。

1 ÷ 100 = 0.01 つまり 1%

毎月100人訪問していて、そのうち1人が購入した場合、購買率は1%となり、毎月100人訪問していて、そのうち50人が購入した場合、購買率は50%となります。

毎月何人訪問していても、訪問者全員が購入すれば購買率は100%となります。逆に毎月何人訪問していても、購入者が0人だった場合は購買率は0%となります。

実際には訪問者が全員購入することは考えにくいですので、購買率が100%を目指すことは現実的ではありません。それでは購買率はいったいどのくらいを目指せばよいのでしょうか。

目指すべき購買率の基準は?

購買率は高いに越したことはありませんが、残念ながらこの数字は右肩上がりに増やすことはできません。Yahoo!ショッピングの場合、取扱商品のジャンルによって目指すべき購買率の参考値が提唱されているのです。以下一部抜粋ですがご参照ください。

売上月商「200万円」の場合の参考値(購買率のみ抜粋)

・キッチン・日用品・文具 3.83%

・ペット用品・生き物 7.71%

・ゲーム・おもちゃ 2.94%

・家電 3.14%

・コスメ・美容・ヘアケア 6.09%

何を基準に目標をたてる? – 売上UPノウハウ – Yahoo!ショッピング ※Yahoo!ショッピング出店者様用ログインが必要です

もちろんこの購買率の参考値は必ずそうなるというものではなく、多くのストアの実績に基づいてこれくらいが相場ですよと示した値です。ストアによってはこの参考値よりも高い購買率に着地する場合もありますし、同じストアでも日によって購買率が異なる場合があります。あくまでも参考値ということは念頭に置いてくださいね。

目標値と現在値を比較する

目標値が見えてきたところで、あなたのストアの購買率のデータを確認してみましょう。

既にあなたのストアの購買率がYahoo!ショッピングが提唱する参考値に近づいている、または超えているのであれば、あなたのストアの課題は購買率以外の要素にあるはずです。しかしながら、購買率に関しては非常にやっかいで他の要素の影響を受けやすい繊細な要素です。購買率以外の要素、例えば集客を改善するために広告を実施して訪問者が大量に増えた場合、一般的には購買率は下がると言われています。次の例をご覧ください。

  • 500人中5人が購入していた = 購買率1%
  • 商品ページを改善し500人中10人が購入するようになった = 購買率2%
  • 広告によって訪問者が1000人に増え、購入者は15人になった = 購買率1.5%

①⇒②⇒③の順で購入者数は増えていますが、母数である訪問者数が影響して③では購買率が下がってしまっています。これは広告で集客したお客様の過半数が、買う気が無いのに訪問しているからです。このような購買率の動きは至極当然の流れですので、誤った判断をしないよう一喜一憂することなく広い心で構えましょう。

一方で、あなたのストアの購買率がYahoo!ショッピングが提唱する参考値に達していなければ、あなたのストアの課題は購買率を上げることです。といっても、購買率を参考値まで急いで増やそうと考える必要はありません。前述のように購買率は他の要素の影響を非常に受けやすい不安定な要素です。お客様の動きをよく見て、施策を検討していきましょう。

訪問者数を増やす具体的な集客施策は?

商品毎に転換率を確認し、転換率の低い商品から順に商品ページの情報を充実させ、購入を後押しするような特典を工夫してみてください。場合によってはそれは値引きポイント付与という特典の可能性もありますし、サンプル提供ラッピングサービスという特典も魅力的ですね。お試しとして窓口商品を用意することも購買率アップにつながります。

Yahoo!ショッピングのイベント時には購買率が上がりやすい傾向があります。ポイントを日常的に集めているお客様は、高いポイントがもらえるイベント日程を事前に調べて購入します。個人向け商品であれば、Yahoo!ショッピングのイベントに合わせて施策を実施するのも効果的です。

集客するお客様の質を改善することも、購買率を上げるために重要なポイントです。前述のように広告によって購買意欲の低いお客様ばかりを集客しても、いたずらに購買率を下げてしまうだけです。そもそも「購入する可能性の高いお客様」だけを戦略的に呼び込めるような集客方法を考えることが、転換率アップにもつながるという事を忘れないでください。

転換施策に関しても、これより具体的な施策内容については時間が許せば後日記事を用意します。

3. 客単価

Yahoo!ショッピングにおける客単価の定義は以下の通りです。

平均客単価
注文したお客様1人あたりの注文金額
売上÷注文者数=客単価

販売管理用語集 – ツールマニュアル – Yahoo!ショッピング ※Yahoo!ショッピング出店者様用ログインが必要です

Yahoo!ショッピングの全体分析レポートでは平均客単価となっていますが、実際に数値の平均を取っているわけではなく月次の売上と注文者数から算出している点にご注意ください。

客単価は商品の単価やお客様が何点購入するかにより変動します。例えば8000円の美容液を販売している場合、理想的な客単価は8000円前後を期待してしまいます。しかし実際には、お客様にとって8000円の美容液を購入することは非常にハードルが高いため、500円のお試し商品ばかりが売れる結末が容易に想像できます。そうなると、500円のお試し商品が売れれば売れるほど客単価は8000円からほど遠いものとなってしまいます。せっかく集客に成功して、転換率も好調だったのに客単価が下がってしまっては元も子もないですね。

実は客単価は最もコントロールすることが難しい要素ともいわれています。それもそのはず。クーポンやポイントを駆使して1円でも安くお買い物をしたいと思っているお客様に、より高いお金をお財布から出してもらわなければならないのです。物売りの腕の見せ所ですね。そんな客単価でも、目指すべき基準は存在します。

目指すべき客単価の基準は?

実はYahoo!ショッピングでは購買率と同様に、取扱商品のジャンルによって目指すべき客単価の参考値が提唱されているのです。以下一部抜粋ですがご参照ください。

売上月商「200万円」の場合の参考値(購買率のみ抜粋)

・キッチン・日用品・文具 ¥4,858

・ペット用品・生き物 ¥5,319

・ゲーム・おもちゃ ¥5,612

・家電 ¥10,388

・コスメ・美容・ヘアケア ¥4,642

何を基準に目標をたてる? – 売上UPノウハウ – Yahoo!ショッピング ※Yahoo!ショッピング出店者様用ログインが必要です

上記Yahoo!ショッピングの提唱する参考客単価から、いずれのジャンルの場合でもまずは4000円を超えるくらいが目安となりそうですね。しかしながら、やはりこれらの参考値はあくまでも多くのストアの実績に基づいて算出された結果論でしかありません。同じジャンルでもストアによってターゲット層が異なりますので、参考値より低い客単価でも何千万と売上を作るストアもありますし、1万円以上の高額商品しか取り扱っていないストアでは1点購入されただけでも客単価は1万円を超えます。あくまでも参考値ということは念頭に置いてくださいね。

目標値と現在値を比較する

目標値が見えてきたところで、あなたのストアの客単価のデータを確認してみましょう。

既にあなたのストアの客単価がYahoo!ショッピングが提唱する参考値に近づいている、または超えているのであれば、あなたのストアの課題は客単価以外の要素にあるはずです。何もしていなくても客単価が目標値に近づいているのであれば、それはあなたの商品選定や価格設定が完ぺきだったという事です。欲張りなあなたはもっと客単価を上げたいと考えるかもしれませんね。そうでなくても、客単価が目標値に達していない場合は、客単価を上げる施策を考えなければなりません。

客単価を増やす具体的な施策は?

客単価を上げるために真っ先に思い付く方法は「値上げ」です。しかしご想像の通り、この方法は概ねうまくいきません。商品の価格は需要と共有と競合と各種費用と利益を想定した丁度良い案倍に決めているはずです。値上げによって今まで購入してくれたお客様が離れてしまう可能性がありますし、安易に商品の価格を変えることはお客様からの信頼を失ってしまいます

ではどうするかと言うと、一定額以上の購入特典を付ける(5000円以上でおまけ配布)、関連商品を一緒に購入してもらう(ワンピースに合うベルトを進める)、まとめ買いを誘導する(美容液2本セットで5%OFF)、より上位の商品を提案する(松竹梅の選択肢を用意する)、など商品ラインナップとサービスを見直しましょう。お客様にはお得に感じてもらいながらも一度に購入する金額を上げることができます。

また、お客様のお買い物導線上にわかりやすく上記お得感な買い方を提案できるようなショップ構成へと改善する事も大切なポイントです。単品の商品ページには「お得なまとめ買いはこちら」といった導線を用意することで、自然にお客様の目を高単価商品に向けることができます。その時は単品購入で終わってしまっても、商品を気に入ったお客様は次はきっとお得なまとめ買いで購入する事でしょう。

客単価の施策に関しても、これより具体的な施策内容については時間が許せば後日記事を用意します。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回はYahoo!ショッピングのデータ分析の初級ということで、売上の公式を構成する3つの要素について解説しました。ずいぶん長い記事となってしまいましたが、この記事をオフラインでも読めるよう、PC版ではPDFのリンクもレフトナビに載せています。誰かと共有するなり印刷するなり、どうぞご活用ください。

全ての要素に対して具体的な施策は後日記事にしますという逃げ文句で、締まらない記事となってしまったことは大きく反省しています。必ず具体的な施策の記事を執筆することを約束して、本記事は筆を置くこととします。

Yahoo!ショッピングも含めてECを取り巻く環境やルールは常に変動しています。できる限り最新の情報に更新するつもりですが、もし未来のあなたがこの古い記事を見つけても、暖かい目で一読いただけると嬉しいです。温故知新。

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